Q1.【受領拒否】
商品・製品や成果物を指定の納期に納入しようとしたら、「新型コロナウィルス感染症の影響で売上が落ちている。そのため、仕入れをやめたい。」との理由で、親事業者の都合で受領を拒否されてしまいました。どうすればよいのでしょうか?
A.下請業者側に責任がある場合を除き、親事業者が発注済の納品を断ることは受領拒否に該当し、下請法違反となります。
まず、親事業者としては、他の営業所や倉庫等の代替的な場所での受領の可能性も含め可能な限り当初定めた納期で受領する手段を講ずる必要があります。もっとも、親事業者が都道府県の要請を受けて営業を自粛し、客観的にみて当初定めた納期に受領することが不可能であると認められる場合には、両者間で十分協議の上、相当期間に限り納期を延ばしても、公正取引委員会等が下請法違反に基づく措置等を取る可能性は低いといえます。親事業者は、このような特別な事情や経緯について、事後的にも説明できるように記録を作成しておくことが求められます。
他方、下請業者としては、①下請法違反を指摘した上で、成果物の引取りを求める、②公正取引委員会に相談・申立てをして調査や勧告を促す、という手段が考えられます。
なお、受領拒否により下請事業者に追加で生じた保管費用等の追加費用については、原則として、親事業者が負担する必要があります。下請事業者に対し、親事業者が支払うべき費用を負担させることは、不当な経済上の利益提供要請として下請法上問題となりますので注意が必要です。