旅館業
旅館業の破産は,一般的な債権者である金融機関に加えて,一般の消費者が多数含まれるという点に特徴があります。そのため,できる限り債権者数を増加させないようにしつつ,ウェブによる予約システムを満室とするなどして可能な限り予約を控えるべきです。
破産の場合には,旅館から消費者に対する非金銭債務(宿泊その他サービスを受ける権利)は,履行できない状態になっており,消費者が旅館側に対して既に宿泊費を支払っている場合には,支払済みの宿泊費返還請求権が残る形になります。
また,この返還請求権は破産債権であり,これは裁判所の破産手続の中で,破産管財人による配当を受けうるにすぎないのが原則です。そのため,旅館側が廃業にあたって任意に消費者に宿泊費の返還をすることはせず,仮に返還をした場合は管財人による否認権行使の対象となりますのでご注意ください。